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この記事では、コロナ禍が終息に向かい出した2022年11月~2023年12月までの14か月における訪日韓国人へのマーケティング事情をすべて棚卸して実績を分析した情報を基に、BtoC企業のマーケターにとって2024年に訪日韓国人の集客で成功するための重要なポイントを解説します。広報、集客、売上獲得の各フェーズにおいて成功事例を交えながら、具体的な戦略とアプローチを紹介していきます。
コロナ終息後(2022年11月~2023年)の訪日韓国人の市場動向
訪日韓国人が増えたのは、予測通りだった
コロナ禍で人々の渡航が途絶えていたことすら、もう既に忘れている方もいるのではないでしょうか?2022年11月頃から韓国から日本への渡航が再開され、わずか1~2か月でその数は急上昇。2023年1月単月で仁川→関西で270,000人が来訪しました
韓国仁川空港情報
2023年1月に最も人気があった(利用客)国際線路線❶仁川→バンコク 269,274人
❷仁川→関西 268,761人
❸仁川→成田 239,439人
❹仁川→福岡 207,717人
❺仁川→シンガポール 159,764人対日本で月100万人レベルは過去最高の数値 pic.twitter.com/qQcwfy0aSx
— 🇯🇵まつきよ一平🇯🇵 (@matsukiyoippei) March 7, 2023
また、コロナ禍におけるアンケート調査でも、日本不買運動の兆しなど全くなく、希望渡航先のほとんどが日本で占められるという事態が起こりました(調査では「国」不問で希望渡航先を調査しています)
何もせずに集客ができた地域・企業とは?
渡航の機会が回復し、韓国人旅行客の集客ができている地域・企業・店舗に共通する条件はほぼ以下のとおりです
●団体客ではなく個人客のリピーター造成をコロナ禍前に行った
●インフルエンサー施策をコロナ禍前に行ったことで来訪者への検索対応ができていた
●コロナ禍前に来訪した顧客のレビューが総じてよい
これらの店舗はコロナ禍終息後に、まず集客が当然できています。したがって集客ができている店舗を多く抱える地域が必然的に集客ができています。関東・関西・北部九州に加え、2022年夏から予約が多数入っていた北海道とゴルフ客が多い宮崎においても顕著な傾向が見られました。
「うちには来ているのか?」「うちにはなぜ来ているんだ?」
さて、地域として人気はあるものの(広すぎるからでしょうけど)「うちには韓国人客が来ていない」という声を多数いただいてきたのが東京です。ちなみに韓国人客はいまさら「東京」という地名では訪問先を意識せず、銀座・新宿・赤坂など都内の地名で行先を詳細に把握する傾向があるほど、東京に詳しい顧客が多いのも特徴です。
百貨店さんを例に出すと「うちは免税売上の実績が少ないなぁ」という声。そこから勝手な仮説で「韓国はそもそも単価が安いんだろうね」という声。いえ、買うところでは買っているし、行くところには行っている。つまり来訪の動機を形成できていない企業・店舗においては、東京に館を構えたとて、集客するためにはきちんとした情報戦術を取らないと実績を作りにくいという傾向があります。
仮に集客ができていても、「なぜ来ているのか?」を受け入れる側が把握していないと、すぐに顧客を奪われてしまいます。
2023年になり過去にない傾向が見え始めた
インフルエンサー(ブロガー)招聘で効果を出しづらくなる
かつては、韓国人旅行客はみなブログを頼りに店舗を探す傾向にありましたが、その投稿数が想像を絶するレベルで増加しており、大阪や福岡といった来訪者が継続的に多い地域においては、インフルエンサー(パワーブロガー)主導型で検索結果を誘導することが極めて困難になるというレッドオーシャンになったのです。
リピーターを中心とした来訪者が継続して増加したことによる当然の帰結であるのですが、こと大阪や福岡においては、どれだけ力があるとされるパワーブロガーが投稿をしたとしても、その投稿が長続きする傾向が徐々に弱まってきています。それは莫大な数の来訪者があり、そのほとんどの一般人もブログ投稿を行うためです(ちなみに韓国のブロガーは約3,500万人います)。常に数日前という新鮮な情報が投稿され続けることにより、検索結果は日々大きく変わる。。。。その結果、どのような方の投稿であっても長く検索結果のファーストビューに現れにくくなってきたのです。
大阪や福岡ではブログプロモーションは既にレッドオーシャン
実際に検索結果を見てみると、かなり驚きの結果が現れます。下記は「大阪」の旅行情報で韓国人ユーザがよく使う検索キーワードの典型例です。①大阪 グルメ ②大阪 旅行 でブログ検索をしてみた結果です。
現在のNAVER社のブログ検索の結果では「投稿総数」の明示がありません(過去はありました)。ただコロナ禍前までは、ファーストビューにパワーブロガー(インフルエンサー)の投稿ブログがよくインプレッションがありましたが、現時点ではその傾向もなく、かつ投稿されたタイミングが「直前」のものばかりです。つまりは翌日に検索すれば、また同じ結果にはならずさらに新しい情報がランダムにファーストビューに現れることになります。大阪そのものに人気があることはとてもよくわかるのですが、大阪の個店の情報が長くビューに現れるようなことなもはやなくなりました。パワーブロガーの力がなくなったのかなぁという声を聴くようになった理由の1つはここにあります。ただそれだけではありません。
コロナ禍の間に韓国で起こったパラダイムシフト
改めて韓国のウェブマーケティング・マスマーケティングを棚卸
2022年11月から2023年6月頃まで、当社でもパワーブロガー(インフルエンサー)招聘を各企業様へご提案し、来訪者の増加を目指す施策を取ってきました。しかしながら旅マエ(旅行に行く前)の情報入手を韓国語で改めて行うと、前述のとおりブロガーさんのブログが上位検索される傾向が必ずしも多くなく、かつ福岡や大阪において、異なるきっかけで店舗来訪している韓国人顧客をダイレクトにみかけるようになりました。そのため当社では改めてコロナ禍を経て変わったと思われる韓国のウェブマーケティングの現状を把握するためにソウルに向かいました。
当社では韓国放送広告振興公社(한국방송광고진흥공사、略称:KOBACO)と業務提携を行い、KOBACOを通じて、韓国の放送局・タレント事務所・インターネット広告会社を歴訪しました。そのうえで韓国におけるマスメディア広報、ウェブマーケティングの最前線を調査し、調達ルートの確立を行いました。
NAVER1強時代の終焉
2023年11月現在で利用状況を確認してみたところ、NAVERの利用は全体の半数まで落ち込んでいました。(以前は80%以上を維持していました。)
NAVERにとって代わり、Googleが増加し、他方で過去においては人気が低迷していたDaumも再度伸びてきました。
さらにSNSのプラットフォームまで加味すると、Youtubeとインスタグラムの利用が延びており、NAVERやGoogleとのハイブリット利用が大きく目立ってきました。インスタグラムの利用はもともと2016年ごろから女性を中心に韓国では利用傾向が大きく目立つようになり、ハッシュタグでの検索を通じた活用が良く見られていました。
Youtubeの台頭とGoogle利用率の増加
おもに20歳代~30歳代の若年者を中心に、韓国人の間ではGoogleの利用が急増しています。背景にあるのが、「検索に対する信頼度」がそもそもNAVERやDaumには相対的に低いと捉えている傾向です。またコロナ禍で自宅での動画閲覧の機会が大幅に増えたことでYoutubeの利用率が大きく伸びたことも、過去になかった顕著な傾向といえます。そのため、日本への旅行に関する旅マエ(旅行に行く前)の情報入手手段としてYoutuberによるYoutubeコンテンツを探索して見ることによって訪問の機会を得ているようです。
他方で、NAVERの利用者の傾向を韓国のウェブマーケティングで調査した結果、40歳以上の壮年層・高齢者が利用している傾向にあることが分かりました。韓国のウェブマーケティング業界ではGoogleユーザとは対照的に、NAVERユーザを情報弱者と位置づけています。特にNAVERユーザは今も動画よりテキスト中心のコンテンツを好む傾向があります。結果として韓国では、ユーザの年齢や情報リテラシーにより情報探索のプラットフォームが分かれてきています。
訪日韓国人客がよく見る媒体・コンテンツの変化
NAVERパワーブロガーの力が落ちた別の理由
もともとNAVERのパワーブロガーとは「認定制度」でした。その認定は2008年から2014年ごろまでで更新・増加せずに限られた方が認定されている状態が続いていました。しかし他方で悪質な「レビューブロガー」と呼ばれる、他から寄せてきた写真素材などを集めてひたすらキュレーションの目的だけで情報を矢継ぎ早にアップロードさせるキュレーターが現れたことでブログプロモーションの信用や質が徐々に落ち始めました。日本の一部業者もこれらのレビューブロガー(キュレーター)に雑な記事掲載をさせて多額の広告費を請求するケースが散見され、その都度検索からの除外されたりやBANが起こったりしました。
このような事態が起こったことも影響し2018年にNAVER社は新たに「NAVERインフルエンサー」の認定制度を創設して、認定を開始しました。その結果従来のブロガーに加えて、InstagramやYoutubeのインフルエンサーも認定を受け、いわゆるインフルエンサーの数は激増することとなりました。その結果として、相対的にパワーブロガーの情報拡散力が低下していきました。
韓国におけるYoutubeコンテンツの人気の背景
コロナ禍で巣ごもり需要が多かったこともあり、動画閲覧のニーズが増え、視聴習慣が浸透しました。その結果、新たなトレンド情報は旅行前の情報調達ふくめ動画にシフトしています。では、日本のYoutube視聴の様相と具体的に異なる点は何でしょうか?
①とにかく動画のクオリティが高い 素人動画系Youtuberは韓国ではありえない
②韓国で有名なYoutuberはいわゆる芸能人 芸能事務所がYoutubeを取り仕切る
Youtuberをインフルエンサーとして招聘をすることは物理的には可能です。ただし金額は過去に招聘した韓国人パワーブロガーより3倍程度の予算がかかります(そのかわり通常の3倍以上の動画閲覧寿命があります)取材してもらう内容を事前にきちんと整えてから招聘をすると、高い集客効果を長い期間得ることができるようになります。
③韓国はTVの旅番組が軒並み人気 Youtubeでの切り取り配信との相乗効果が著しい
例に挙げている各番組は軒並み視聴率が20%超。中でも「花よりおじいさん」が現時点で最も人気が高いと言われています。(往年の男性俳優陣のツアコンとして女優が1名就いて、あれこれ旅行する企画。上記写真のツアコン役はチェ・ジウです)
なおアジアフューチャーでは上記の番組ロケの招聘も物理的に可能です。(予算見積を必ず事前に行ってください)
旅ナカ(日本訪問時)に活用するのはGoogle Map
他方で、来訪している韓国人客が、日本国内で検索に最も使っているツールの1つがGoogleMapです。ここで大切なのは韓国の携帯キャリアで契約をした韓国人のスマートフォンでGoogleMapを見た場合、日本で日本人が見るコンテンツと異なる内容が現れる点です。
そして、地図上にも韓国語での表記をきちんと表すことができたり、韓国人客向けだけのクーポンの掲示をしたりすることができます。これらの手法を駆使するための韓国向けGoogleMAP の最適化(MEO)もアジアフューチャーでは承っています。
リピート顧客を生み出すCRM戦略/ O2O(Online to Offline)
Instagramも韓国市場においては非常によく活用されています。アジアフューチャーとしては、各店舗・企業が自前でアカウントを取得して運用するSNS運用も推奨はしますが、それ以上に重要だと捉えていることは「来店客・購入客による投稿促進」です。すなわち、Youtubeやブログ、インターネット広告などを通じて来店した顧客、購入をした顧客に対して、Instagramへの投稿を促すような施策と特典(インセンティブ)提供をご提案しています。
Instagramの投稿を顧客を通じて増やすことで、想定するハッシュタグでの検索やインプレッションが増加する効果を見込めます。そのうえで、きわめて興味関心の高い顧客層に対して伝えたい情報をダイレクトに伝えることができるようになります。Instagramの投稿を閲覧した韓国人は、改めてNAVERやGoogleで同内容を再検索し、さらに他の韓国人のブログ投稿の内容を確認して訪問するという念の入様です。この情報流や遷移を予め想定しておくと、集客・売上に直結した顧客の誘導が可能となります。
集客増加・売上増加を具現化させる対策
直行便が飛ぶ地方都市では、まだブログプロモーションは効果的
さて、ブログプロモーションの弱力化を本ブログで伝えるに至りましたが、誤解があってはいけないのは「情報量が少ない地域では、ブログの効果はまだまだ高い」ということです。ソウルから直行便が来訪している地方都市は得てして来訪者によるブログ投稿の絶対数が少ない傾向があります。
そのためその地の専門的な情報を韓国語で掲載しておけば、検索をかけてきた韓国人客は閲覧する可能性が大変高まります。この傾向をきちんと把握したうえで、地方都市でソウルから直行便が飛んでいる場合は、地元での消費を誘導させるような投稿に特化して数多くの情報を掲載してあげてください。
投資額を限定するなら旅マエより旅ナカ情報を充実させる
「コロナ禍の前はブログプロモーションをしっかり行ったので、韓国人客の来訪が多かったのに、コロナ禍終息後はさっぱりなんです…」なんて声を、かつて集客に成功していた日本の飲食店オーナーから聞くことが増えました。なぜそのようなことが起こったのか?は、比較的理由は簡単で「すぐ近所のお店が韓国人のYoutubeで紹介されているから…」というケースが増えています。
現時点でこのアドバンテージを、大きな力でひっくり返すのは容易ではないと考えます。そのため、現時点で訪日韓国人の集客が十分に出来上がっていないというケースの店舗においては、旅ナカ情報の充実を図ることをお勧めしています。具体的には…
●貴社情報のオンラインでの発信(SNS運用またはブログ発信)
●GoogleMapの最適化(写真掲載、名前の整備、クーポン提示、顧客へのレビューの掲載依頼など)
●Instagramでの情報発信協力要請およびイベントの実施(掲載情報の増加)
アジアフューチャーでは上記の解決策をいつでもご提供できますので、お気軽にお問い合わせください。
旅館・宿泊施設は直接予約客の獲得を目指すこと一択
宿泊施設においては、旅マエの情報発信・旅ナカの情報管理を徹底するとともに、予約獲得と売上獲得のフローを「直予約」にこだわりましょう。せっかくの広告広報施策を取ったところでOTA経由で予約を獲得してしまうと、大きな手数料支払いを行う必要にかられます。それよりもウェブでの顧客獲得や、多言語人材の配置を通じて、直接予約を韓国人客から獲得することだけに収れんさせるサービス設計や、特典準備を行うことで、インバウンドマーケティングを経営課題の解決に役立たせることができます。
ASIA FUTURE ご担当者様
お世話になります。福岡の広告会社 ㈱三広の石田と申します。
弊社では、インバウンド向けプロモーションを実施予定のクライアントが数社あり、
現在、そのプロモーションを企画中でございます。
韓国以外の国に対しての調査及びプロモーションの実績等はございますでしょうか?
よろしければ、ご連絡いただけると幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
㈱三広 東京支社 石田