近々、DVDで「夕やけニャンニャン」のダイジェストが発売されるそうな。?という人もいることでしょう。80年代後半に、フジテレビが平日夕方にぶちかました1時間番組。普通の女子高生がおニャン子クラブと称して、ブラウン管に出まくっていた。メンバーには渡辺真里奈や工藤静香、など 最近では有名になった人たちもいる。
これは僕のような30代にはうれしい話。多分DVDを買ってしまうことだろう。先般発売された「8時だよ!全員集合」も思わず買ってしまった。消費者としては、ひたすらうれしいんだけど、番組制作に携わってきた者としてはとっても怖い現象でもある。
なんでか?
それは「今の制作能力が著しく落ちている」ことの象徴でもあるから。「制作能力が落ちている」のではなく、「すでに消滅している」かもしれない。能力が落ちだすと、制作ノウハウが下に伝わっていかない。ということは放送局に最も不可欠な「コンテンツ制作力」が激減しているっちゅうわけ。
最近のキー局が制作する番組は、スタジオトークを収録するものがほとんど。ざっくり収録して、後で面白い部分を選んで編集してまとめる。タレントを拘束する時間が「見える」から経費を抑えられるという利点もある。
ただこれをすると、いろんな弊害もあったりするのね。
- 時間を限られた中で面白さを凝縮するという「演出力」が低下する
- 出演者のトークの力も低下する
特に2番目は、CD聞いて、歌唱力のすごさを期待してた歌手がライブではサンザンだった…ってのと同じ現象になるわけでして。ライブ(つまり生放送や無修正収録)だと、だますことができない。
何でもそう。
でも編集を加えると、「別の作品」を作り上げることができる。でも放送だって舞台だって、目の前でリアルタイムで行われるもの。だったら、ライブにこだわった方がいいに決まってる。
DVDで出る「夕やけニャンニャン」も既に出てる「8時だよ!全員集合」もどちらも生放送。だからすごい。ドリフも秋元康もだからすごい。というわけで、ウラを返すと「懐かしさを売る」今の傾向って、放送局業界にとっては、ものすごーくアブナイ話だと思う。
ひとことで言えば「創造力の欠如」であるからなのね。それは僕の勤める会社もしかり。ウチのラジオではメインの番組で、昔の看板番組をそのまんま放送してる。昨年からそういう編成方針になった。その分制作ノウハウは枯渇してしまった。制作者に能力を期待できる土壌もない。おおかた予想はしていたものの、思った以上にひどい状態に今なっている。
今はいいかもしれんが、5年後・10年後のウチのラジオに、新しいスター・新しい看板番組は現れることは、まずないだろう。期待すらできない。こんな会社に未来はあるのか?とちょっと思っちゃう。
っていうか、プライドないんかなぁ。制作に関して。プライドないまま毎日垂れ流してる姿って、ただただあきれるだけだね。やれやれ。
ついでに言うと、2年前にフジテレビが放送したHR(ホームルーム)というシチュエーションコメディ。これもすごかった。作ったのは三谷幸喜。だから三谷幸喜もすごいんよね。