何の因果か、きょうも仕事をしている。
休日なのに。夏が終わろうとしているのに。知っている人間が遊んでいるというのに。仕事が多いのが悪いのか?捌けない自分が悪いのか??
さて。
先日、ラジオが面白くないという話を書いてしまった。まぁ事実だから別にいいのだが。社内でも最近、とある部署がわけのわからん通信を書き出してまして、その文書の中に
「平時のAMラジオが媒体としてその価値を失い始めて久しいことはご存知の通り」「ラジオ単営局は東京キー局であるニッポン放送ですら、その凋落ぶりは目を覆うばかり」と、言いたい放題あった。おいおい。
責任がないと激しく批判をするのが、一般人。そんな批判屋が多いのも自分の会社の特徴。特に「ラジオはお荷物」と思っているヤツが多いからこまった話です。
まぁそれでラジオの現場の連中はこれを読んで怒っていました。ボクに言わせれば、どっちもどっちって感じですけどね。だって面白くないのは事実だから。番組作りにはセオリーというものがあり、面白くするにはコツがあるのです。で、その礎に加えて地域性や時間の特性、さらには現代の傾向やこれからの動きなんかを加味すると、「今らしい」番組ができるものです。
で、ラジオ番組が面白くない原因って何なのか?理由はたくさんありますが、きょうはまず1つ目だけを紹介。「情報」がない、からです。
日ごろから「情報を発信する媒体」だという認識が聴取者にないと、いざというときに媒体としての信頼を得られなくなります。以前、大雨で福岡の町が麻痺し、死者まで出した。。。そんな日に、ウチの放送局はレギュラーどおりの放送をしていました。録音番組まで丁寧に流して。。。こういう信頼失墜の行為に対する処罰も反省も再発防止策もない。。。それが現実。
ウチだけではないだろうな。こんな放送局が日本にゴロゴロ存在しています。一方、アメリカの話。9・11のテロの日、ニューヨーカーの頼みの綱はラジオでした。
WTC崩落の粉塵でテレビ、FMは機能せずAMラジオで情報を得たそうです。
同じことが日本でもあります。ご承知の通り阪神・淡路大震災。大阪をはじめ関西地区では、震災以降ラジオを聴く人が増えたといいます。当然です。生死を分けた瞬間、自分達をパニックから遠ざけたツールを人は一生忘れないでしょうね。
イギリスの連中はニュース媒体として何を最も信頼しているか?という問いに「BBCラジオ」と答えます。アメリカでも大統領のラジオ演説といえば、定番中の定番。ラジオの媒体価値が著しく下がっているのは、先進国ではダントツ日本なんですね。
ラジオとは「癒し」だ!
ラジオとは「音楽」だ!
とノタマウ方が結構います。日本の放送局には。
絶対に違います。ラジオとはすなわち「情報」が命です。「情報」を扱わないラジオなんて存在価値はありません。
そう、だから媒体価値が落ちているんですね。
「今日ラジオでこんなこと話してたよ!」という会話もなく、
「きのうの●●ラジオで△△さんが発表しました」なーんて話題がテレビ、雑誌では出ない。
情報発信の媒体でなくなったのね。単純なことを理解できてないのに、目先の手段にだけ捉われるから、ラジオって面白くない。
会社の中には、このことに気づいている人もいる。気づいて、実現できずあきらめた人もいる。ウチより実現性が高いと思い、辞めた人もいる。あまり会社では激しく言うつもりはないけど、ラジオという媒体を好きでない人間がハンドリングすることだけが、納得いかないな。
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一応AM/FM双方で仕事してきた僕に言わせると、
>ラジオとは「癒し」だ!
>ラジオとは「音楽」だ!
>とノタマウ方が結構います。日本の放送局には。
>絶対に違います。ラジオとはすなわち「情報」が命です。「情報」を扱わないラジオなんて存在価値はありません。
の部分はちょっと微妙かなぁ。
ラジオやテレビのようなPUSH型の媒体は、
「出会い」を提供できる強みがあると考えます。
知らなかったニュースに出会うこと。知らなかった音楽に出会うこと。独り眠れない夜にラジオのパーソナリティの暖かい語りと出会うこと。これはいずれも同じ価値を持つものだと思います。
阪神・淡路大震災の時、ラジオがもたらしたのは安否情報や生活情報だけでなく、荒みがちな心を癒す音楽や、力強く励ます癒しの言葉もあったわけで。
(阪神・淡路大震災でのAMラジオが果たした役割についてはラジオ関西のwebに詳しく載っていますが、実はKiss-FM KOBEは違うアプローチで被災者に大きな安心を与えた記録があります。米では数年前のサンフランシスコの大停電時に、FMが果たした役割は、音楽を通じた人心の安定にあったという報告もあります。)
webを中心としてきたPULL型のメディアが発達してきたことにより、情報経路は圧倒的に増えました。
今や情報の選択権は完全にそれを取得する側に委譲されてます。「マス媒体」なんていう言い方は僕らサイドの奢りと幻想でしかないと思うわけですよ。
所謂「世論」っていう言い方が出来なくなっているのがその証左で、一つの情報に対する個人の見方は随分バラエティが出てきていると思います。
非常時に強いラジオとしての情報発信機能を忘れることは絶対に許されませんが、平時のラジオのあり方は次第に変わってきています。
KDDIがauの全端末にFMチューナーを搭載する目的は、「音楽との出会いを提供する」という一点です。これによる「着うた」の販売促進というビジネススキームの構築に、FM媒体の価値を見出しているわけですな。
ま、コンテンツビルダーとしての立ち位置を忘れて、新聞やテレビから得た2次情報を、したり顔でくっちゃべるラジオ番組がゴミであることと、それがコストの観点から当たり前のように容認されている現状は問題ですけどね。
長くなってゴメン。。。