解説|結論と結果の違い 美味い天ぷら屋を、食べずに判断する(1)
からの、続き
帰納的思考と演繹的思考を区別する
だいぶ前の話ですが、原発事故が起こってからにわかにこの本 「失敗の本質」 が着目されたことがありました。
著者の1人は、あのSECIモデルで有名な野中郁次郎先生。かつてQBSの教科書としても出していただいこともあり、人生で数度読んでいる本の1つです。
この本にも指摘がある日本軍とアメリカ軍の思考の差異は、戦後70年経っても変わっておらず、日本人・日本企業・日本社会にあてはまる要素が多すぎて、そのしわ寄せが私たち現代の日本人の若い人々を中心にまで浸透している気がしてなりません。
基本的な差異の1つとして同著では、論理思考法を指摘していました。日本は帰納的、アメリカは演繹的 なのです。
帰納的思考とは
Aが起こった、Bが起こった、Cが起こった… だからそうなるだろう。。みたいな思考だと思えばいいかな?結果重視・実績重視・でも最後はなんとかなる。そんな雰囲気・空気を重視。だからわかったな!?お前ら。そんな思考。
空気を読むなんて言葉は既にこの本でも指摘がありました。決断の判断材料は「お上・前例・横並び」。
演繹的思考とは
仮説・検証・理論構築・現場落とし込み。だから新しいものが生まれてもロジックが成立してたらすぐ受け入れる。「お上・前例・横並び」とは真逆の理論。
行動する前に「結論」を出すことこそ、演繹的思考ではないかと考えます。
他方で漫然と行動したりすることで結果を待つという思考が日本国内には蔓延しています。そしてこの結果重視思考の人に必ず見られる傾向に「セルフ・サービング・バイアス」が見られます。
セルフ・サービング・バイアスとは
文字通り 「自分を擁護する偏り」 のこと。自分が成功したら自分のおかげ、自分が失敗したら「人のせい」「世の中のせい」にする傾向です。よくいませんか?そういう人。
SWOT分析のSとTを持ち出す人ですね。しかも言い訳は「結果」が出た後。
再度確認しますが、「結論」と「結果」の根本的な違いは、 「結論」とは行動する前にほぼ出せること です。
私がよく社員に出す例が「美味しい天ぷら屋さんを見分けるためにどうやって結論を出す?」か。
「結果」を出すには「食べてみなけりゃわからない」ですが、そこにいきなり時間とコストをかけるのは、私に言わせれば単なるアホです。
「結論」は情報を取れば先にわかります。その前にその「取るべき情報」で「美味しいと予測できる指標」たる仮説を立てることができるはずです。
新しい仕事へ乗り出すにあたり、自分の扱う商品を理解していなかったり商品の生まれた背景を知らなかったり、販売する対象市場を理解していなかったりすることは、訓練せず徒手空拳で戦場に降り立つようなものです。
守るものは何か?えるべきものは何か?そのための武器は何か?ここを知らずして自分の仕事の結論を導き出せるわけがないでしょう。
ビジネスマンにとっての武器は、まず何と言っても数字
評価も結果も結局数字で表されてしまいます。そして数字は残酷です。そして数字は素直です。だからその数字に結果だけを叩きつけられるよりも、あらかじめ自分の中で「仮説」「検討課題」「結論」「方向性」そして「目標」を数値で持つことがビジネスマンの必須条件だと考えています。
この思考がない人を僕はサラリーマンと呼んでいます。みんな人のせい・災害のせいにするから。自分の子孫に「日本の地に立つこと」を勧められるようになるのかはたまた「流浪の民となること」を勧めることになるのか?悪習の打破と思考方法の変革を起こさぬ限りは、自身も企業も国も未来が見えなくなる恐れがあります。
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