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日本人はリスクの捉え方が苦手 時間があるなら、本を読みましょう
天変地異とまで言いませんが、有事の際に予め読んでおいた方がよい書籍をご紹介します。
早川書房
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この本から、重要な箇所を引用してお伝えいたします。
心理学者のポール・スロヴィックという方がいました。この方が提唱した「スロヴィックのリスト」というものがあります。これは一般の方が主観的にリスクを評価する際に「過大評価を誘発しがちな事柄に、共通する要素」をまとめたものです
コロナも放射能も日本人が怖がる理由は、感情を動かす別の因子です
スロヴィックのリストをまず確認しよう
- 大惨事の可能性: (時間軸上に分散された少数の死者ではなく)一回の事件で多数の死者が出る場合、リスクの認識が高まる
- 馴染み: よく知らないあるいは聞いたことがないリスクは、余計に心配する
- 理解: 活動あるいは技術の働く仕組みがよく理解できないと、危険意識が高まる
- 個人による制御: (飛行機の搭乗客のように)被害の可能性が自分で制御できるレベルを超えていると感じると(車の運転のように)制御できると感じる場合より心配する
- 自発性: リスクにかかわらないことにすると、余計に恐ろしく感じられる
- 子ども: 子どもが関与すると、より深刻になる
- 未来の世代: リスクが未来の世代に脅威を与える場合、余計に心配する
- 犠牲者の身元: 統計上の抽象概念ではなく身元のわかっている犠牲者だと、危険意識が高まる
- 極度の恐怖: 生じる結果が恐怖心を引き起こす場合、危険意識が高まる
- 信用: 関係している機関が信用できないと、リスクは高まる
- メディアの注目: メディアで扱われることが多ければ多いほど、余計に心配になる
- 事故の歴史: 過去に良くない出来事があると危険意識が高まる
- 公平さ: 一方に利益がもたらされ、他方に危険がもたらされる場合、リスクの順位が上がる
- 利益: 活動あるいは技術のもたらす利益が明確でないと、明確である場合よりリスクが大きいと判断する
- 復元性: 何かがうまく行かなかったときに、その結果を元に戻せないと、リスクは高まる
- 個人的なリスク: 自分を危うくするものであると、リスクは高まる
- 出所: 人工のリスクは自然起源のリスクよりリスクが大きい
- タイミング: 差し迫った脅威ほど大きく感じられ、未来の脅威は割引かれる傾向がある
コロナウイルスの話、結構当てはまりませんか??
リスクの増幅の大きな原因は「人の感情」です
ブログやYoutubeでよくリスクとは何かをきちんと謳う、堀江貴文さんや池田信夫さんが主張する内容って、統計的な確率や科学的根拠に基づくものなのです。
しかしながら、こういう客観的なデータや理論を、恐怖におののく人に伝えると「上から目線だ」「バカにしている」「何かあったらどうする?」「お前が責任取るのか?」「人の気持ちを分かってない」などと、ほぼ議論にすらならないレベルの回答が返ってくるものです。
スロヴィックのリストを大きく分けると…
- 恐怖因子(もしもその危険が実現したら、破滅するという感情的な恐怖)
- 未知性因子(知らないことは危ないので、やめたほうがいいという偏見)
- 災害規模因子(確率の大小に関わらず、もしその損害が現実になったらどれくらいの被害規模か?の予想)
この3つのカテゴリーに大別できます。
ほとんどの一般人は、このどれかを重視して、怖がるわけです。だからどれだけ安心・安全を謳ったところで、目の前の恐怖心や先入観、そして想像力が働く状況では、理性的な行動を取らないケースが間々あるわけですね。
いま事業者がすべきこと 身近な「となりの恐怖」を溶かす
リスクとの接し方には、これまたロジックがあります。大きく分けて4つです。
- リスクの低減(リスク最適化):手洗い・マスク・免疫対策を取る
- リスクの受容:多分かかっても死なないから、そのまま受け入れる
- リスクの回避:そもそも外に出ない 接触を拒む
- リスクの移転(リスク共有):みんなでリスクを共有してカネで解決⇒つまり保険に入る
まずは、罹患する可能性を減らすための努力を怠らないようにするべきです。そのために必要なことはどんどん実施し、情報を公開し、ノウハウを共有しましょう。その情報が出続けることで、身近に対策を打てるようになります。
次に東京発信の全国メディアの言うことを信用しないようにしましょう。それよりも「自分の近所」の現状を把握し、対策を知りましょう。さらにメディアよりも厚生労働省や自治体の発信情報を入手し、どの程度「治っている」のか?を知ることも大事ですね
それでも怖い人は、表に出ないこと、表に出さないことです。何もしなければ罹患しません。個人も会社も下手に動かないことだって、対策の1つですから。
そして最後は、カネで解決。万が一かかった時の保険は入っていますか?医療保険はコロナウイルスに対応していますか?どうしても旅行や出張がある場合、国内旅行傷害保険に入っていますか?できることはたくさんあります。保険で対応できるものは、なんでもかけておくくらいの安全策は必要です。
この4つの対応策を駆使しつつ「ここまでは大丈夫!」を積み重ねていけば、恐怖心は徐々に消えていきます。いま私たちが戦うことは「恐怖心の払しょく」なのです。罹患リスクやメディア批判ではありません。