もともと夏休みを取るということ自体、会社に入ってから初めてだったかもしれません。近頃は、「年休消化」の圧力がどんどん大きくなり、今年になってからは、クソ忙しい夏場に「休みを取れ!」と迫る動きが出てきました。
会社への帰属意識も薄れていた上に、やはりチームの部署では年長者から休みを取らないと年下の人たちが休みを取りにくいという心情もあると感じ、今回は8月の盆入りの週に連続休暇の申請をしてみました。
とはいえ。別にすることもないので、今回ほとんど思いつきのように韓国へ行くことにしました。僕のことをよく知る人からは「何で今更?」と尋ねられました。そりゃそうだ。これで何回目の訪韓じゃい?20回は越えているけど、実際何回目かよくわからん。
で、それだけ何度も訪れる国でありながら、ここ数年韓国でしていないことがあった。それが「観光」。なんとも矛盾した話ですが、友人や知り合いが増えたりしたせいもあり最近、韓国という国をゆっくり「見た」記憶がないのです。そんなこともあり、あえて行ってみる気になったわけで。
今回の目的地は「江原道」。エハラミチと書いて、「カンウォンド」。朝鮮半島の地図を頭に思い浮かべたら、その右上。
韓国北東の道(日本の県みたいなもの)に行ったわけです。別に理由はない。あえて言えば、「唯一足を踏み入れたことのない道」がここだから。なぜ行ったことがないのか?と言えば、これまた簡単。「何もないから」です。失礼な話かもしれませんが、超が付くほどのド田舎で、本当に何もない町。道の真ん中には空港があるものの、便を調べたらソウルからはゼロ。釜山からは一日1便。そこまで公共交通機関が発達していない場所も珍しい。
やむなく今回は福岡から船で釜山に向かい、そこからいざなわれるまま高速バスターミナルへ。バスに乗ること、なんと5時間30分。何もない町に着いてしまった。やれやれ。またもや意味の無いことをしてしまった。
で、道中の発見。朝鮮半島の東岸は、リアス式海岸のように入り組んだ断崖絶壁があり、一方でその隙間隙間に、小さな海水浴場がいくつもある。驚いたのは、各海水浴場と海岸線沿いの道路とは、有刺鉄線で隔てられている。記憶に新しいのは、江原道に座礁した北朝鮮の潜水艦。そのほかにも北朝鮮の工作員が海上から陸地に上がる作戦をとる場合、どうしても東岸の方が多いゆえ、水際での防衛が必至となるわけです。
まさに国防と背中合わせのレジャー、それが韓国の海水浴。夏の情緒もへったくれも、あったもんじゃない。戦後60年の今も臨戦態勢の国。久しぶりにその緊張感を教えてくれたね。