上海
いきなりこの町のすべてを知ろうとしても、ドダイ無理なことは
わかっていた。
きょうも雨後の筍のごとく、高層ビルが濫立している。
で、上海とは人口が1800万人近くいるらしいが、「戸籍上」の人数と
異口同音にことわる。つまり本当は外国人や不法滞在者を含め何人くらいが
現在のところ上海市内に居を構えているか、全くもってわからんそうだ。
その数、実に200~300万人近くいるとのはなしもある。
そんないい加減な数の把握し方でいいのか?と思いきや、
「それが普通」と言われ絶句する。よくわからん。
なぜか?上海の現地人に言わせれば
「『2000万人』なんて数字、中国の人口で考えれば『誤差の範囲』ですよ」と。
13億人という母数があれば、2000万人は1.5%。そらそうだ。
…そらそうだけどさぁ。。。上海と言う一大巨大都市すら誤差と言わしめるとは
やはり上海は砂上の楼閣なのか?!
まぁめまぐるしい発展を遂げている上海ではありますが、
いみじくも1995年と2004年にも訪れている者として、指摘したいことがある。
それは、「上海が経済発展しても変わっていない点」
1)水質
水がまずい。当然飲めない。バスタブに溜めたら黄ばんでいた。
歯磨きすら厳しい。この水を使用しているため、飲食店でお茶が出てきても
せっかくのジャスミンティやウーロン茶の風味がかき消される。
普段日本で何気なく使う水だが、いざと言うときに蛇口の水を飲めるという国は
やはり奇跡に近い。やはりあまり日本で贅沢言うと、罰かぶるかもしれん。
2)大気
一段と汚くなっている。排気ガスは当然だが、粉塵が半端ではない。
恐らく住んでいる人はあまり気づいていないだろうが、高層ビルの上層から見ると
春先の黄砂の季節の福岡を髣髴とさせる景色がそこにあるわけで。
福岡に戻って深呼吸したのは言うまでもない。
3)騒音
とにかくうるさいクラクション。これでもか!とばかりにガンガン鳴らす♪
個人的には楽しいところだが、嫌な人からしたら、とことん嫌だろな。
4)ゴミ
相変わらず町にゴミを投げ捨てる者が多い。そして痰つばを吐くおっさんも多い。
早朝から深夜まで、道脇には何らかのゴミが常に落ちている。。。。。
と、まるで悪の町かのように記載したが、誤解して欲しくないのは、つい数年前まで
日本だって似たようなものだったってこと。
1)と2)は経済発展の過渡期において、必ず忘れ去られる環境と人間の健康。
どうせそのうち、そのあたりがビジネスチャンスになる国になるだから、長い目で見たら
解決する問題なのかもしれない。
3)と4)ははっきり言って国内の教育の問題。
じゃあ教育水準が遅れている?ということ??それは違う。
中国人の現在の教育水準は当然日本を上回っている。けど、全員へ行き届いているか?が
疑問だが。。。。つまり教育の格差、これは結果として情報格差と思われるが、
そこが生まれている。
そして4)の景色に写るおっさんどもは、文化大革命を経て出てきた50歳代。
大学教育も皆無、その前は完全な社会主義で人民公社全盛の時代。
そこに顧客満足~他人に迷惑をかけない~町を汚さない。。。なーんて
公共性を求めることにそもそも無理がある。
「三つ子の魂 百まで」というとおり、50歳代以上の改革はほぼ不可能。
日本人の50歳代以上に根付く、様々な差別意識を除くことが未だできていないことと
全く同じ理屈。日本人が差別意識を持たなくならない限り、中国人のモラルアップもムリと踏む。
上海を見ると、過去と未来の日本の問題点を垣間見ることが出来ます。
ある意味、150年前に高杉晋作が同じ経験をし、持ち帰って日本を変えたわけですが。。